子供ピストル

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子供の頃、銃の音と言えばバッキュンバッキュンだった。みんながバキューン、バキューンなどと言っていても僕はバッキュンバッキュンをやめなかった。ズキューンという奴にはそれガンダムじゃんかなどと文句さえ言っていた。ずっとバッキュンバッキュンだった。思えばテレビをあまり見たことがなかった。

バッキュンバッキュンがおかしいと気づいたのは小学校になってからだ。バッキュンバッキュンだと連射できない。バキューン、バキュンバキュンバキューン。このパターンだと4発まで連射できる。バッキュンバッキュンをやめた時、周りではダダダダダッ、ドゥルルルルなどという奴らが出始めていた。機関銃の真似をしていたのだ。僕は一度覚えたものをそうやすやすと手放したりはしない子供だった。みんながどんなに巻き舌で唾を飛ばしまくっていてもバキューン、バキュンバキュン、バキューンに夢中だった。いつかダダダダッ、ドゥルルルルを使う日もくるだろうと思いながら。しかしそんな日は残念ながら訪れなかった。みんなそんな遊びをしなくなってしまったからだ。そんなことを考えていたことさえいつしか忘れた。

今思えば大人になるにつれて僕が聞く銃の音はどんどん変わっていったように思う。スパイは防音装置を付けてプシュッなんてビールを開けるみたいな音を出し、戦争の音はパパパパパパパパンと壊れたクラッカーのような音をジャングルに響かせていた。

「バキューン」
今、僕は君の小さな人差し指に撃ち抜かれた。どこか懐かしいあの音で。

「プシュッ」小さな銃口を見ながらビールを開ける。君が大きくなっていくこの世の中がどうか平和でありますように。

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