テキストを書くということは何処かに新しい世界を作っているのかもしれない。
現実に起こっていないことが文字に書きだされた途端に単なる空想から現実未満のなにかに変わる。

恋をしてはいないけれど作中の人物に憧れを持つことを止められない。
実際に起きたことではなくとも涙を流すことを止められない。

世の中三次元だなんて大嘘だ。
本は二次元だなんて嘘っぱちだ。
頭の中には三次元以上、億次元未満の世界が広がる。
この世はうたかたのはずだけれど頭の中には盛者必衰の理をぶっ壊した世界が只々だだっ広く横たわっている。

お茶のたて方は知らないくせに頭のなかに茶室を持つ。
雪見障子は煤けている。
青に広がる白のコントラスト。
益子焼のコーヒーカップなど持っていないけれど、たてたお茶はそれに淹れる。
そんな世界ではいつも独りだ。

たまに自分が狂っているように思えてしまうのは違う場所に来ているからなのかもしれない。
頭の中は想像以上に不可解でいつもそれを説明できない。
そのくせ居心地だけは悪く無いからいつまでもここに居れたらと思ってしまう。

良いも悪いも崩れた世界に今日もこっそり現実から逃げる。
これを飲んだら帰ろうと思う。