・・・ピピッ
・・・ガーーガーー・・・

ハローみなさんこんにちは。
僕は19ー9A組のアジャンタ・スクリュワラです。皆さんより未来に生きています。
現在コチラは西暦2432年6月8日15時30分。この動画は人類学研究の宿題動画です。
今日は過去に生きている皆さんと共に貧困と寿命について考えてみたいと思います。

僕の住んでいるこの世界では誰もが平等に寿命を買うことができます。未来ではヒトゲノムの解読によって人から人への寿命転送が可能になったのです。寿命の転送は世界政府機関によって管理されており対価を払えばいつでも命を買うことが出来るようになりました。
世の中にあるすべてのものは資本化され『万物債権可能法』という世界法によって統制が保たれています。この世界では腕も足も臓器も寿命も、人体を司る全てのものを対価によって手に入れることができるのです。例えば寿命を10年減らす代わりに健康な臓器を手に入れるなんてことも出来ます。永遠に生きたいと願う人はお金を稼ぐのに必死です。逆に高額で寿命を売って太く短く生きようとする人も居ます。

僕の生まれた南半球の国では子供が生まれるとすぐに20年分の寿命をデポジットとして換金します。今でこそ必要ないのですが生まれたらすぐに命を削るというその行為が風習として今もなお残っているのです。失われた20年分の寿命を取り戻すために生きる。その方がより良い人生が送れると信じられています。
寿命を売ることが出来るというこの行為のおかげで世界中から貧困がなくなりました。15歳になると男も女も子作りを始めます『命は金なり』なのです。
学問はもはや生きるための必須ではなくなりました。
その代わり頭がいい人は生き続けるのでここ数百年の間に文明は信じられない程の発展を遂げています。

貧困が無くなると秩序と言う言葉もなくなりました。秩序なんて言葉が格差による不満を誤魔化すためだけに存在していることにあなた方が気付く事になるのもあともう少しです。
宗教は古典であり無用の長物です。
戦争に対して我々は冷めています。
戦争が起きるということは単に世界からトータルの寿命数が減るということでしかないのですから。
国の強さは命の所持数で決まります。
「富国生殖」こんな言葉が各国のスローガンであることにきっと皆さんは驚かれるかもしれませんね。

突然未来の話などして少し混乱させてしまったでしょうか。ドウモスミマセン。
今日、何故この動画を皆さんに届けたかというと僕のこの宿題動画が世界政府機関のコンピューターによって過去への警鐘動画として選ばれたのです。どうやら僕のこの動画には皆さんに対して某かの不安を抱かせる要素があるようで、世界中から集められた動画の中からこの動画が選ばれました。正直なところ、何処が警鐘となるのかなんて僕にはさっぱりわかりません。学校の先生もわからないとおっしゃっていました。でもいいんです。おかげで僕は失った20年分の寿命を取り戻せるのですから。
最後まで見てくださった皆さん有り難う御座います。

僕の次の目標は昨年株で失ってしまった30年分の寿命を今度こそ取り返すということです。ローンもまだ寿命50年分ほど残っているので来年200歳の誕生日を迎えるその時までには・・・ガーガーピー、ピー・・・ピッ、

ーーープツン

そこに映っていたのは透明な容器にプカプカ浮かぶ脳。

#MVN