宇宙の中に浮かぶとある星。
彼が生まれたのはもう50年以上も内戦が続く小国家だった。彼は頭脳明晰で周りの助けを得ながらも科学者になる。

そんな彼がひとつの発明をした。従来の爆発物よりも簡単に作れる化合物だ。彼は未来のためにとその製造方法を無償で公開する。安価に製造可能なそれが世界中の戦争で使われるようになったのは当然のことだった。

「レインボーアイス」
いつしかそう呼ばれるようになったそれは爆発の際に小さな虹を作り出すという特殊な性質を持っている。小さな虹は毎日ニュースなどで人々の目に映るようになり、いつしか創作映像にとっても必須のものになっていった。

数え切れないほどの月日が流れた。それでも世界のどこかでは日々戦闘が行われ、小さな虹は生まれ続けていた。

−−未来のために
ある日、突如として空に現れた巨大な虹。それは全ての人類に対して自分が攻撃を受けたように錯覚させるには十分すぎるものだった。

科学者の本当の願いはこれだったのだろうか。武器を捨てていなかった人類は美しい虹によって滅亡した。

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あの日、彼の村が爆撃に遭った日。吹き飛ばされて横たわる科学者の母の脇には小さな虹の描かれたアイスキャンディの空袋が転がっていた。

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