数年に一度、子供の時に川下りのお土産にと貰った蝋石の事を思い出す。その辺に落ちているただのでかい石みたいな無骨でやけに立派な蝋石だった。触るとヒンヤリしたそれは重みがあって立派過ぎて、子供の自分には路の上に字を書くために使うなんて出来やしなかった。

何度目かの引っ越しの際にそれは捨ててしまったのだけれど、その蝋石はたまにおもちゃ箱の中から顔を見せては自分にくれた友達のことを思い出させた。あの時川下りに連れて行ってもらったという彼が眩しく見えた事も一緒に思い浮かんだりした。

お土産はいつか捨てて貰えるものが良いと思う。そう考えるとあれはとても素敵なお土産だったし地面に絵でも描いて全部使い切ることをしなかった自分はただの馬鹿だった。

いつかあんな蝋石を見かけたら今度は自分で買ってみようと思う。そして誰かの子供にあげてみるつもりだ。そんな事を考えながら子供の頃を振り返っている。悪くない、なかなか悪くない。

やっぱりあれは正しいお土産だった。