奇妙な手記 ― ジャングルノート1話

この記事の所要時間: 1 34
  どうして其の本を手に取ったのか全くわからない。吸い込まれる様にして入った一軒の古本屋でベージュ色の表紙をした一冊のそれを見つけた。
 
『ジャングルのせかい』
 古紙の匂いが鼻につき、幾つかの本はまだ紐でくくられてうず高く積まれている狭い店内。誰かが一度見て止めたのだろう。それは表紙を表にしてぞんざいに置かれていた。何故かシルクハットを被り煙草を吹かしているクロコダイルの絵が描かれている。パラパラとめくるとそれ程小さくない活字がビッシリと書かれており、挿絵もほとんど無いため全くジャングルの本という感じはしない。今まで見たこともないようなそれに、ついつい蒐集家の悪い癖が出てしまい、気が付くと紙袋に入った其れを持って店を出ていた。

 此の本に書かれているものは創作なのだろうか、それともジャングルにはまだまだ得体の知れないものが沢山残っているとでもいうのだろうか。現実世界には有り得ないようなタイトルが並んでいる。だのに全く非現実の事が書かれているような感じがしない。もう既に騙されでもしているのだろうか。章立ては次のようになっている。

一章:言葉を話す豹
二章:アリの教え
三章:タバコを吸うワニ
四章:蝶の墓場
五章:逆流する滝
六章:迷い込むライオン
七章:知られざる夜会
八章:この世の果て

 どうだろう。ざっと見ただけでもワクワクしてしまう。週末は此の本をじっくりと読もうと思っている。こんな事をノートに書いているのは最近記憶がとても曖昧で、書いておかないとすぐに忘れてしまうからだ。自分の記憶を紙に残して、自分が生きているという証を残さなければならない。このノートが埋まる頃にはなにもかもがあやふやなこの感じも少しはましになるはずだ。

 この本を読んだ感想も残すとしよう。
 
スポンサーリンク
レクタングル(大)
スポンサーリンク
レクタングル(大)