メランコリック’80

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 田舎育ちのため時折田舎が恋しくなるのだけれど曇りの空を見たいと思う。都会で見る曇天は人々の鬱積した心を映しているように見えるが、田舎のそれには恐ろ しい程何もない。厳しい寒さと重い空、なんなら電線を掻き鳴らす風。そこに抗えない何かを思いつつ緩やかな失望を愛でる。子供の時には大嫌いだったあの空 が恋しい。

 旅行において遺跡やら名所に行くというのは当然のことだとは思うのだけれどそればかりを詰め込むのは如何なものかと思う。疲れるし楽しいのか楽しくないのだかよく分からなくなってしまう、つまり楽しくない。

 なんとか銀座などと名乗るくせにもうすっかり寂れきった商店街などをあてもなく歩いたり、どれだけ錆びた缶が出てくるかわからないような自販機で缶コーヒーを買ったりするのは疲れないし楽しく無いわけでもない。じゃあ楽しい。

 景色には二種類あって外を見るための景色と自分の内面を見るための景色があるのかもしれない。景色って言葉は目を閉じると出来事なんて言葉に容易に置き換えられてしまうから目を開いて見るしかないのだろう。

 曇り空だったらきっと最高に違いない場所を見つけた。どこが良いのかなんてうまく言えない。

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