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メランコリック’80

この記事の所要時間: 1 1

 田舎育ちのため時折田舎が恋しくなるのだけれど曇りの空を見たいと思う。都会で見る曇天は人々の鬱積した心を映しているように見えるが、田舎のそれには恐ろ しい程何もない。厳しい寒さと重い空、なんなら電線を掻き鳴らす風。そこに抗えない何か...

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ジャングルへの帰還 ― ジャングルノート11話【完結】

この記事の所要時間: 3 11

 そういえば本の表紙には作者の名前が無い。あとがきのページをめくるとやっと作者の名前を見つけた。やはり作者はフランス人のようだ。訳者のところには「訳したあなたの名前をここに書いて下さい」と線が引いてある。そこには前の持ち主が書い...

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読了 ― ジャングルノート10話

この記事の所要時間: 6 51

八章:この世の果て  遂に長かったこの手記にも旅の終わりを記す時がきたようだ。私は今、海の孤島に浮かぶ病院のベッドで此れを書いている。こんなとるに足らない今の私の状況など書くことは関係ない気もするが物語というものは物語の世界の中だ...

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追想の夜 ― ジャングルノート9話

この記事の所要時間: 3 6

七章:知られざる夜会  長くなった私の手記もそろそろ終わりを迎えようとしている。しかし私は書こうと決めたことのうちの一つをまだ書いていなかった。忘れてしまう前にここに書き留めておこうと思う。  ジャングルの中では誰も...

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マルセイユ ― ジャングルノート8話

この記事の所要時間: 4 48

六章:迷い込むライオン  外の歓声をよそに、私は笑いながら涙を流していた。何のための涙なのかは解らない。祖国へ早く帰れる喜びなど無かった。全てはまやかしだということは判っている。早く帰れると言われたところで祖国へすぐに...

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未来への道 ― ジャングルノート7話

この記事の所要時間: 2 56

五章:逆流する滝  私は現実とは何かということを真剣に疑問に思い始めていた。ジャングルに入ってのこの数ヶ月間、実に多くの不思議な光景と仲間の死に立ち会って来た。だがそれを現実として受け止めきれていないのだ。例えばもしもこれが本...

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チョコレートの栞 ― ジャングルノート6話

この記事の所要時間: 1 44

 机の上に造作なく置かれていたチョコレートの箱を千切り、栞の代わりに本に挟む。    やっと半分程読み終えた。もうとっくに読み終わると思っていたのになかなか読み進まない。この本に書かれていることは全くの作り話なのだろうか。そ...

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死の鱗粉 ― ジャングルノート5話

この記事の所要時間: 3 11

  四章:蝶の墓場    ワニと出会ってからの私は祖国に帰ってからのことを考えるようになっていた。ここに来る前の私は雇われで会計事務所に勤め、ある程度の給料を貰っていたのだ。普通に生活する分には困ることなど無かった筈だ。あのバ...

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最後の煙草 ― ジャングルノート4話

この記事の所要時間: 4 48

第三章:タバコを吸うワニ    私は人生の師と言うものに出会ったことが無かった。出会っていたならば借金で首が回らなくなり、命を賭けてまでジャングルクルーズに参加するなどという馬鹿げたことも無かったことだろう。しかし皮肉なことに私...

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ジャングルの決意 ― ジャングルノート3話

この記事の所要時間: 3 57

第二章:アリの教え  ジャングルに入って二週間が経った。あの黒豹に会ってからは特に変わったことは無い。一つだけあったとすれば変わり果てた姿となった逃亡した二人の隊員達と再会したことくらいだろうか。無惨に引き裂かれた装備と誰だかも判...