ずっと猫が飼いたかった。
けれどどうやら無理のようだ。

近所に白猫がいて毎日の散歩コースにうちの中庭を通る。悠々とやって来ては中庭で昼寝を楽しみ、起きるとぷぃっといなくなる。餌をやったこともないのにいつも同じくらいの時間に来るから前の住人がいた時からずっと同じ生活をしているのだと思う。

白猫は月に一二回、夜に家の外で煙草を吸っていると突然現れて俺の横八十センチの所にちょこんと座る時がある「メシ食ったか」などと聞いても何も言わずじーっとこっちを見ている。変に動いたら帰ってしまうので微動だにできず煙草を強張って吸わなければならない。おかげで味など分かりゃしない。
とても迷惑なやつである。

こっちが気を使って何もしないことを察知してか横になってなんかゴロゴロしだす時もある「お夕飯は召し上がったのでしょうか」と聞き直したこともあるのだけれど丁寧語でもダメらしい。
すっかり舐められてしまっている。

こっちはお前のせいでこの煙草の灰をどうやったら静かに灰皿に落とせるか考えているというのに其の態度は如何なものか。さっきまではこっちを見ていたくせに今や俺など眼中にない。

昔知り合った猫もそうだった
つかず離れずの距離でこっちを観察しやがるお前らの種族は一体何なのかと問いたい。どうせ触られるのは嫌がるくせに、いつもお前らは其の距離だ。其の距離には身内しか入れないのが俺の主義だというのに。

俺は猫が飼えないようだ。家族にアレルギー持ちがいるので猫が飼えるということは先に家族が居なくなってしまうことを意味する。
俺は猫を諦めなければならない。

たまに遊びに来る友達がいつまでも来てくれるといいなと思っている。