バレル、アラン、グレアム、エルマン、ベド、ケビ、スヴェン、ドギー、ザール、ミゲル、マギ。裏切り者はこの11人の中にいる。それは1人とも限らない。ここにマギを呼ばなかったということはドクターにとって、マギも立派な候補者のうちの1人なのかもしれない。

ーー 他組織との統合を拒否していたというのは本当のことだ。サカの殺害理由はおそらくそれだろう。バレル、アラン、ザールの三人はアレルディーテの奴らとの繋がりが強い。エルマン、ドギー、ミゲルはよく行動を共にしているが、それには複数の他組織との繋がりばかりではなく禁忌エリアへの侵入も含まれている。
グレアム、ベド、ケビ、スヴェン、マギは組織であることの重要性、ルールを解っている。共存の意義を知っている。人付き合いの苦手なお前を後継者に選んだ理由はお前の圧倒的な分析能力の高さと思考力がこれから先に絶対に必要だと思ったからだ。残った5人はお前の公平さと能力の高さを信じることができるだろう。他の6人はお前を取り込もうと接触を図ってくるに違いない。私とサカは先の6名と決別し組織を解体しようと決めていた。だからこそ統合を拒否し続けてきたのだ。大きい組織になってからでは抜けることがより難しくなってしまう。サカが居なくなった今、先の6人はもうそれぞれの思惑で動き始めていることだろう。

ディスプレイの光を受けて光るドクターの目はまるで深い湖をその奥に湛えて居るようだった。

ーー 我々は今の組織を捨ててこのエリアを脱出する。目標は3階層下へのディープ・ダイブ、酸素濃度21%の世界だ。未来と命をお前に預ける。死ぬか潜るか、もう選択肢はない。残された猶予は3ヶ月もないだろう。おそらく2ヶ月。この計画はお前の指揮なしに成し遂げることは不可能だ。

「ドクター、新しい組織名はDODにしよう。Dive or Die.(とにかく潜れ)になるのかDead or Die.(死ぬのはどちらだ)か。それだけはこれから俺が決めさせてもらうさ」

予想していた最悪のシナリオを軽々と越えて物事が進んでいく。投げやりな言葉ひとつでも言わなくては正直やっていられなかった。